又吉直樹『火花』、文芸春秋、2015年

かなり正統派な青春劇

それなりに著名なお笑い芸人の出世作。ご存じの通り、羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』と第153回の芥川賞を受賞した。 

 

個人的にはあまり純文学、というか小説全般を読まないので、批評というか感想文になってしまうのだけれど、よくまとまった青春劇だと思った。

漫才師として高みを目指す主人公と、彼が師と仰ぐ先輩漫才師との生活を丁寧に描いている。当然、主人公が漫才師であるし著者自身も芸人であるので、ところどころに笑えるシーンが出てくる。村上龍の選評では冗長であるという批判が書いてあったが、このちょっとしたお笑いが聞いていて、個人的には長さを感じさせず面白く読めた。

 

ただ、これは自分自身がそんなに純文学に精通しているわけではないので(まあ、芥川賞になった作品ぐらいは読むかという程度)、「なぜこの作品が芥川賞なのか?」という疑問は残ったままだ。

 

しかし、『火花』とは関係ないのだけれど、文芸春秋に掲載されている記事のほかの筆者は、古賀誠中曽根康弘立花隆小宮隆太郎…とかなり重鎮というか一線を退いて随分経つ人たちが多いのが気になる…

日本で一番売れている論壇誌ならばもう少し若い人に書かせてもいいんじゃないかなと思う次第。

そんな中で、綾瀬はるかがインタビューが載っているのを見ると、これからの高齢化社会の中で彼女はそれなりに固い地位を築いているのかもしれないと思った。